第30話
―――なぁ、名前呼んで。
「…チャマ」
―――もう一回。
涙があふれて、
「ヒロ」
―――うん。
…止まらない。
「ヒデチャン」
―――ありがとう。
「フジクン…」
もう、思い残すことはないけど。
みんなのところに行くだけなんだけど。
それでもなお、生きていたかったと思うこの気持ちは…
―――何なんだろうな…
背後で、ドアノブが完全に壊れる音がした。
光の洪水。
俺の意識は、そこで終わっている。
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