第22話
…結局、俺が自由にできるのは夢や空想の類だけなんだな。
そう思って、自嘲気味に笑う。
地球を離れてから1ヶ月が過ぎた。
星を移動しても、監禁されているという事実には変化がない。
「フジクン!大変!」
いつものように食事を運んできた子供が、俺に何か言いたげな顔をしている。
どうした、と聞くと、何か非常に切羽詰まった感じのテレパシーを送ってきた。
うまく言葉に変換できない、でも確かに伝わってくる、俺を心配してくれる気持ち。
表情とその波動から総合して考えるに…、俺が今食べてるメシに関係あるのか?
鉄格子の外では、さんぜんと明るい星が輝いている。
太陽みたいに見えるけど。
俺が今いるこの星は、いったいどこに存在してるんだろう。
…俺は今、どこにいるんだろう。
「フジクン。逃げて、ここから」
たとえ人種が違っても、人間同士であれば意思の疎通ははかれる。
片言の言葉でも、身振り手振りでも、いっそのこと表情だけだって、何でもいい。
ただ、相手が人間じゃなかったら、話は別だ。そう思ってた。
でも、意外と何とかなるもんだということを…学んだ。
ここで。この世界で。
「お願いだから逃げて!フジクン、殺されちゃう!」
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