第16話

ふと我に返ると、急に小難しい話をされまくった子供の表情がかなり微妙になっていた。

退屈させちゃったかなぁ。

つまらない話で、疲れさせてしまったのかもしれない。



ごめんごめんと謝って、床に投げ出されていた夕食(っつってもゼリー飲料とビスケットというお粗末なものだが)に手をのばした。



しかし、地球に保存食があって助かった。

こういうもんがなかったら、異星人たちは、俺に何を食わせてたんだろう?

…最悪、餓死してたかもしれない。



「ヒデチャン」



食事中も、子供は俺のそばを離れなかった。

どうやら先ほどの話に飽きたわけではなかったらしい。奇特な子だ。








とりあえず腹がふくれた俺も、少し気分に余裕が出てきて、アプローチ方法を変えて話しかけてみる。



王様っていうのは、どんな人なの?

音楽を聞かせてくれたって言ってたけど、けっこう頻繁に会えるの?



そうしたら、子供の返事は「お祭りでしか会ったことない」というものだった。

たぶん祭祀とか何かの祝賀会とか、そういう大規模なイベントのことだろう。



まぁ、そりゃそうだわな。

そんな簡単にトップに会えるわけないのは、星が違えど変わらない。








ああでもないこうでもないと話しながら、スティックに空気を切らせていたら、子供が部屋の片隅の小窓を見つめているのに気づいた。



月が出ていたので、「きれいだな」と呟くと、子供の心がほんの少し翳るのが伝わってくる。



何だ。どうした?

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