第15話
ツッ、ツッ、ツクタン、タンタカ、タン…
「気持ちいい」
この子たちにとっても、キープされた一定のリズムというのは心地良いらしい。
音階を楽しむのとはまた違う感覚で、揺れるスティックを楽しむ。
「ずっと前に、王様が聞かせてくれたやつに似てる」
目の前の子供からそんなテレパシーが飛んできて、俺は思わず手を止めた。
侵略者たちの星に音楽という文化があるのかという疑問もあったが、それよりもっと大事なこと。
王様?
きみたちの星は君主制なのか?
その人は、俺なんかをこうやって地球で拘束したままで、これからどうしようって言うんだ?
…この半年間というもの、世話係の子供たちとしか繋がりを持ってこなかった。
それは必然的に、難しい会話を避けてきたことにもなる。
わざと避けたわけじゃないけど、例えば政治の話だとか、その星がどういう仕組みで動いてて、どんな社会を構成しているのかとか、そういう話はしなかったから。
そうして、あわてて色々と質問を並べ立ててみたが、やっぱり子供にそういうことを聞くのは限界があった。
あまりにも「わかんない」「何それ?」と言った返答が多い。
「みんなで集まってする投票とか、話し合いとかはあるよ」
…うーん、まぁ国会とか議会とか、そういうもんだろう。たぶん。
いや、国の概念がないから、星全体が丸ごと一つの政治機構なのかな。
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