第14話

そこで目が覚めた。

今日の夢は、子供っぽくて、青くさくて、でもどうしても忘れられない若さを含んでいた。



あの頃でも、自分では“俺たちもだいぶ大人になったな”とか思ってたのに。



1人ぼっちの夢もいやだけど、仲間と一緒にいる夢もさみしい。

背中を這い上がってくる不安定さを振り払うように、部屋の隅に置いてあるドラムスティックを見やった。









「ヒデチャン」



ドラムを1人で練習するのは、案外難しい。

いや、もちろん出来ないことはないんだけど、どうしても限界が出てくる。


音階もないしね。

他の楽器と合わせないと、単調になりがち。



「ヒデチャン」



焦れたようにそう呼ばれて振り向くと、子供の1人が夕食を持ってきてくれていた。

もうそんな時間かと思い、檻のなかでにこりと笑う。



「ドラム?」



ドラムセットはギターやベースと違って場所をとるので、ここには無い。

唯一あるのが、数本のスティックだ。

洗面器や本などを台にして、2本のそれを動かす。

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