第12話

しばらくたって、日が傾いていることに気づいた。

小さな窓から、ねぐらに帰る数羽のカラスが見える。



「きみたちは、神様だ」と言われたのも、こんな夕焼けのなかでだった。



あの聖職者の彼のことを思い出す時だけ、俺は涙をこぼす。

自分の現状に対しては、そんなことはない。



きっと感情が死んでいるんだろう。

その方が楽だ。この状況なら、その方が良い。




「チャマはベースが地球で一番うまいんだねっ」




夕陽を浴びながら小首をかしげる子供に、俺は微笑んでこう返す。




「そうでもないよ。俺よりうまく弾ける人は、この星にすごくいっぱいいた。でもね、俺は、その中の誰よりも、ベースが好きだったと思う。その気持ちだけは誰にも負けない」




言葉にしてしまえばなんて陳腐な、チャマという人間の本心。

チャマと呼ばれる人間を愛してくれた人たち全てへの、心からのメッセージ。

たとえもう、死者にしか届かないのだとしても。




「チャマぁ、もっと弾いて~」




幼い無邪気さは、時に郷愁と孤独を感じさせることもあるけれど。

おおむね、俺を優しくさせる。

形だけでも、俺の表情をやわらげる。



この子たちの気持ちを沈ませてはならない。

子供を傷つけてはいけない。



だから泣くな、俺。

笑え!

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