第10話
そこで目が覚めた。
今日の夢は、以前ここで立ち合った“人間の葬式”のシーンだった。
言ってみれば、夢という形をとった回想だろうか。
俺の体が泣こうが笑おうが、俺の心はもうほとんど動かない。
だから、目から涙を落とす“泣く”という動作は、異星人の子供たちを傷つけるだけ。
泣くな、俺。
笑え。
「チャマ♪」
食事を運んできてくれた子供から、何か楽しそうな様子がうかがえた。
どうしたのか聞いたら、「今日はみんなでかくれんぼの続きをするんだ」とのこと。
囚われの身となってから、早いもので半年ほどが過ぎた。
いくつかの簡単な日本語と、身振り手振り、あとは見様見真似のテレパシー(って言い方も変だけど)で、とりあえず不自由のない日々を送っている。
ふと、壁に立てかけたベースを見やる。
ギターの方が子供たちからの評判はいいんだけどね。
まぁそりゃ、わかりやすくメロディを奏でられる方がいいだろうし。
…ギター、ヒロみたく弾けねーかなぁ。
和音もいいけど、あいつの細かい指の動きを思い出したいなぁ。
あとは…そうだ、秀ちゃんのリズムに合わせて弾きたい。
…みんなに、会いたいな。
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