世界樹の葉が落ちる~side直~
第9話
―――そして主は仰られた
―――残されし者は、魂の牢獄にいたる
葬式が始まった。
閉じ込められて自由がきかない生活になってからもう半年になるけど、他の人間がいる気配はない。
…正確には、生きている人間ね。
死者が出た時だけ、弔いの場に立ち合わされる。
“正体不明の病原菌”は、今もゆっくりと確実に活動している。
ただ、立ち合う時も、人間は俺一人なんだよなぁ。
どうなってんのかなぁ。
「どうしてみんな、いっぺんに死なないんだ。葬式がバラけてめんどくせぇ」
ぶっきらぼうにそんなことを言う俺に、子供の一人がうなずいた。
お返しのように、「こういう時“カナシイ”って言わないの?」と聞かれる。
…地球人だろうと異星人だろうと、子供の無垢さというのは時として暴力となるわけで。
そう思った瞬間、俺の顔にあいた穴のうち、上2つにあるものから水分が出てきた。
子供たちがそれを見て、つらそうな表情をする。
俺はべつにキツくない。
ただ、テレパシーで伝わってくる子供たちの心が、ひりひりと痛い。
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