第3話
じゃあ、俺が今“ごくわずかな例外”として生き残っている理由は?
それはね、俺たちが演奏したから。
べつに特別なことはしてないけど、ありあわせの楽器で、4人でアコースティック演奏をしたんだ。
せめてもの鎮魂歌として。
死にゆく同胞たちがあまりにも悲惨だったから。
白人も黒人も、男も女も、大人も子供もない。
骸となった人間たちに、そうなりつつある姿に、ずっと音楽をおくり続けた。
ある聖職者が息を引き取る寸前、死体の山の中で歌い続ける俺に向かって、こう言ったよ。
―――君たちは、神様だ。
チャマやヒロは、弾きながら泣いていた。
それを耳にとめた異星人…おそらくリーダー格の1人だろう…が、俺たちを方舟のなかに招き入れた。
それだけのことだ。
「フジクン」
起きてしばらくすると、異星人の子供が俺に声をかけてくる。
どうやら朝食を持ってきてくれたらしい。
カロリーメイトとジュースかぁ…またその辺の店からかっぱらってきたのかな。
まぁ、もう文句を言う店主もいないけど。
そんなことを考えていると、お子様はこちらをジロッと睨んできた。
…おっとヤバい、怒らせたらまたメシ抜きにされてしまう。
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