=puddle=

第28話

直井の帰国から1ヶ月ほどたち、ベースも全てメンテナンスから返ってきて、すっかり平穏な日常が戻ったある日のこと。



藤「増川クン♪」

増「…は、はひ?」



珍しく前髪を下ろさずスタジオに現れたと思ったら、これまた珍しくニコニコと相好を崩し続ける藤原がいた。



増「秀ちゃ」

藤「いやいや、そんなに怯えないで。ただちょっと伺いたいことがあるだけですから」



がっしりと腕をおさえられているので、増川は身動きが出来ない。



藤「僕ね、キミが誰かさんとキスしちゃったと聞いたんですよ?」

増「あ。いや、そのですね、だから…」

藤「ていうかキミたち、パリのホテルではずっと同室でいらっしゃったとか…?」

増「ぅ…、それは…」



…これは、怯えるなという方が無理だろう。



藤「ということは風呂もベッドも一緒と」

増「いや風呂入るのは別々だし!ベッドだって当然ツインだったし!」

直『でも俺、ヒロの全裸見たな』

升「こらチャマ」

藤「おまえ、ストーカー通り越して露出狂じゃねーか!!」

増「なんでそうなるんだよおぉ!!」



ほとぼりがさめた頃を見計らって聞くあたり、藤原の執念深さが伺える(笑)



升「…俺、そんな話聞いてないぞ?」

直『秀ちゃんにも言ってなかったの?』

増「だって、秀ちゃんにだけは…それにチャマと俺がキスしたところで、何がどうなるわけでもないし…」



うなだれる増川を見て、升も複雑そうな苦笑を浮かべているが。

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