第27話

いつからそんな恥ずかしいことをサラッと言えるようになったんだよぉ。

返事に詰まって目を白黒させる俺を見て、藤くんは楽しそうだ。



藤「俺もこれから先、チャマフォルダでいっぱいになるのかな」

直『んふふ。そうなるといーんだけど。そうなるように頑張ってみるよ!』



幸せになれますように、じゃない。絶対幸せになってやる。



直『藤くん、俺はこれから先もずーっと、きみのそばにいるからね!』

藤「望むところ!」



また一緒に笑えて、本当に良かった。








―――俺の元に初めて外部から演奏の依頼が来たのは、それから間もなくのこと。


頑張ろうと思いながらも戸惑いを隠せない俺に、いちばんの励ましの言葉をくれたのは、やはり彼だった。



藤「チャマ。頑張れ」

直『…うん。俺らの名を汚さないように頑張るよ』

藤「いや、もちろんそれもあるけどさ」

直『……?』

藤「“1人のベーシストであるチャマ”を見せてよ。俺見たいよ。俺がいないところでも、おまえが格好良く弾くところ」

直『…了解』



そうだよな、そのとおりだ。



直『じゃあ藤くん、俺めっちゃくちゃ頑張ってくるからさ。帰りを、』

藤「待ってる」



当然のように言い切る笑顔。そこにあるのは、友情か、恋愛か、信頼か。それらが全部溶け合ったものか。




もう大丈夫。たとえ雨のなかに一人ぼっちになったとしても、孤独を感じることはない。

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