第29話

藤「とにかく、事実なんだな?」

直『ふーじくん。落ち着いて』

藤「おまえも隙見せてんじゃねーよ!言っただろ、俺以外のやつに笑うな、喋るな、大事だと思うな…」

直『それは…難しいね』



ていうか本気だったんだ、と直井は笑う。



直『俺は、これからもヒロと喋るよ。秀ちゃんに笑うよ。きっと高ちゅーとかにも、好きだって言うよ』

藤「………」

直『ふふふ。心配?俺がまたフラフラ消えちゃうんじゃないかって思う?』



猫のようにその瞳をキラつかせて、藤原にまとわりつく姿。



藤「…マネージャーは、場合によっては不可」

直『あー!高ちゅー残念!(笑)』

升「てことは、俺とヒロはいいんだな?」

増「良かった」

藤「だからって、油断すんなよ」

直『脅してどうすんの』








窓の外で、ずっと降り続いていた雨があがった。

七色にきらめく水たまり。




直『ふー。さて…と、もう一働きしますか』




雨は片想いの記憶。




直『じゃ、弾いてきます』

藤「よろしく」




でも同時に、両想いの記憶でもあるから。






―――もっと降ってもいいよ。雨。













【了】

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