第13話
俺は、サクラを中心とした仲間たちの輪から、少しずつ後ずさっていった。
急な展開についていけなかった。
そして同時に、どす黒いものが胸の奥にこみ上げてくる…。
どうして?
ミュージシャンだなんて、あんた、そんなこと一言も言ってなかったじゃん。
どうして1年前、俺の前に現れた?
どうして、あのコンテストの話を持ちかけた?
どうして…
まさか…
藤「俺に対する評価って、何だったんだよ」
桜「え?」
藤「もしかしてあのコンテスト、出来レースだったのか?多少使えそうな素人を引っ張ってきて、入賞させて…」
桜「フジ、違う」
あわてたような、大人の声色。
俺の知ってるサクラの声とは違う気がして、さらに噛みつく。止められない。
藤「あん時にもらった一万円、俺がどんだけ嬉しかったか、あんたわかってんのかよ!メンバー以外で俺のことわかってくれる人がいた、そう思ってすげぇ嬉しかったのに!なのに、実はプロに目ぇかけてもらって、とんとん拍子にレールに乗って…それで、それで結局は俺たちのこと、商売道具にするんじゃねーか!」
升「藤原!」
必死で言い募る俺を制止したのは、秀ちゃんの真剣な瞳だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます