転機

第8話

直「うおぉ!でっけぇ!」

増「ほんと、すげ…」



コンテストの選考会場は、3000人は収容できるであろう広さのホールだった。


そう。

俺たちは見事にテープ審査を突破し、直接演奏を聴いてもらえる場所に来ることが出来たのだ。



藤「…気持ちいいだろうな」

直「えっ?」

藤「こんな広いとこで演奏できたら、お客さんいっぱい入ったら、超気持ちよくね?」

升「そうだな。そうしなきゃな」

直「…うん」

増「緊張、するけどね」



テープ審査合格の通知を受け取った日は、みんなで慣れない酒を飲んだ。

飲み方もペースもわからなくて、全員へべれけになってしまったけれど。


嬉しかったんだ。

俺たち4人が一緒にいることが、初めて“客観的に”意味のあることだと認められた、そんな記念すべき日の祝杯だったから。



直「ね、今日優勝したら、またみんなで飲も!」

升「気が早すぎないか?(笑)」

藤「いーじゃん、飲もうぜ」



気分が高揚する。

みんなで過ごす“未来”の話。



増「親父のウィスキーとか持ってこれるかな」

藤「それもいーけど、俺らの金で買いたいな。安酒でもいいじゃん、どうせ味わかんねんだし」

直「あはは!それもそーだね」

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