第23話

そこまで言って、はっと後ろを振り返る俺。

やべぇ、升もヒロもケガしてたよな!?



増「あ、やっと思い出してくれたみたいだね」

升「まぁ俺らはチャマほど痛い目にはあってないけど。2人いたから分散したのかな」

藤「わりぃ…マジで…」



そこには、拘束をとかれて手当てをしてもらっている2人の姿があった。

痛みに顔をしかめつつも、笑顔を向けてくる。

…エマさんが集めた信者のなかには、しっかり医療関係者も含まれていたわけで。

なんという完璧さ。

もうここまで来ると、ありがたすぎて怖い。



升「エマさん、ありがとうございました」

―――無茶なことしたわねぇ。

増「す、すみません…」

―――あなたたちもだけど、由文くんも、基央くんもよ。みんな自分のことより、誰かのために動いてるんだから。若いって素敵よね。

藤「いや別に…」

直『そうじゃないです、エマさん。少なくとも俺は自分中心で動いてたし』

―――あら、そう?

直『俺はスパイみたいに藤くんたちに近づいておきながら、途中から都合良く寝返ろうとしたんです。今だって…それの言い訳をしてるだけで』

増「そうじゃないでしょ」



ここで増川が口をはさむとは思わなかった。

でも彼は真剣な瞳でチャマに言葉を投げかける。

まるで、この機会を逃したらチャマ自身を失ってしまう、と言わんばかりに。

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