集結

第21話

===藤視点===



望月の家は立派なものだった。

もともとはこの地方の地主だし、某企業の役員をしていた経緯もある。それなりに金はあるのだろう。


エマさんを運転手に任せ、俺は敵陣へ飛び込んだ。

上の階と下の階に続く階段で一瞬迷ったが、監禁つったら地下だよなぁ…と勝手に決めつけて、一目散に駆け下りる。


地下室のドアを開けた途端、俺の目にぼろぼろに傷ついた2人の幼なじみの姿が飛び込んできた。

望月の手下にやられたんだろう、後ろ手に縛られ、床に転がされている。



藤「ヒロ!升!」

望「おや?これは教祖様、ようこそ。しかしこんなむさ苦しいところへいらっしゃってはいけませんよ。誰か、上の部屋へお通ししなさい」

藤「うるせぇ!ふざけんな!」

望「やれやれ…あなたには、あまり手荒なことはしたくないのですがね」



望月の合図で、手下たちが飛びかかってくる。

教祖にも手ぇ出すのかよ。いよいよマジで輝一会を乗っ取るつもりじゃねぇか…

体力に自信なんかないけど、こうなったら出来るだけ暴れてやる、そう思った瞬間。


かなりの数の男性が、地下室になだれ込んできた。

よく見ると、うちの中堅クラスの信者ばかりだ。

最後に姿を現したのは、エマさんと、車椅子に乗った…あの姿は…



藤「チャマ!」

―――教祖様、それから升くん、増川くん。もう大丈夫よ。これだけ味方を集めたから。

升「…エマさ…こんなに大勢…」

増「すげぇな、さすが…」

―――望月さん、逃げ場はありませんよ。出来る限りの信者の方々を集めましたし、事と次第によっては、教団本部の警備から警察にも連絡できます。



見事な行動力。そして統率力。

さすがばーちゃんの代からの幹部、切れ味が違うぜ。



―――それからご覧の通り、由文くんはこちらでお預かりしておりますわ。もういい加減になさったらいかがですか?



望月が絶句したままエマさんを睨むが、しょせん敵ではなかった。何て言うか、器が違う。

…あっちの勝負はついたな。

それより俺は、さっきから車椅子の上で黙りこくったままのあいつが気になって仕方ない。

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