真相

第13話

===増川視点===



チャマや直井家についてそれとなく調べているうちに、思いがけない方面で妙な噂を耳にした。

この間の選挙で幹部を退いたエマさんが、最近頻繁に外出しているらしいのだ。


年も年だし、足も不自由だし、楽隠居の身になって、のんびり猫と一緒に暮らしたい。

そう言っていたはずの彼女が。

…なんだか、胸騒ぎがする。





升「だからってなんで俺まで?」

増「しっ、いいだろ別に。張り込みとか尾行ってのは、2人1組でやるもんなの」

升「刑事ドラマの見過ぎだっつぅの」

増「あ……エマさん出てきた」



秀ちゃんを誘って、エマさんの家の前まで来た。

何だかんだ言いつつ、彼女の姿が見えた途端、秀ちゃんも真剣な顔になっている。

やっぱり何か妙な感じを受けているんだろう。


少し足を引きずりながら、杖とハンドバッグを手にゆっくり歩いて行く後ろ姿。

そんなに遠くまで歩くはずはないんだけど、と首をかしげた時、エマさんが通りかかったバス停のベンチに腰を下ろした。


1分もしないうちに、そこに黒塗りの車が来る。

内側からドアが開き、彼女を乗せるとすぐに車は出発した。



増「今の車、何だろう」

升「……ヒロ」

増「ん?」

升「今の、たぶん望月さんだ…誰にも言うなよ」

増「えっ」

升「うーん。まだイマイチ、どこがどう繋がってんのかわかんねぇな」



望月さん…エマさんと入れ替わりに幹部に選ばれた、あのおじいちゃんだ。

あの2人、親しかったのか?

いや、そんな話は聞いていない。


じゃあどうして…?

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