第5話

エマさんのかわりに選ばれた新しい幹部は、望月さんというおじいちゃんだった。

一見すると人が良いだけっぽいけど、元は某企業の役員だったという、海千山千の強者らしい。

うちも大きい団体だから、こういう人はいた方がいいだろう。








直『あの、』

藤「ん?」

直『それで、どうして俺…いや僕が、ここに呼ばれたんでしょうか』

藤「俺らのこと覚えてない?」

直『……』



チャマは、あっさり落選していた(しかもかなりの大差をつけられて)。

でも呼び出してみた。

あんなボロ負けするならどうして選挙に出たのかとか、そもそもいつから輝一会の信者だったのかとか、転校してからどうしてたのかとか。

とにかく、聞いてみたかった。

話をしてみたかったんだ。



直『…藤原さんですよね』

藤「そのとおり。こいつは覚えてる?」

直『えーと、たぶん、増川くん』

藤「正解。じゃあ、今コーヒーいれてるのは?」

直『えーっ……と…???』



あからさまに“誰?”という表情のチャマ。

…升が無表情のまま、いれたばかりのコーヒーを全部流しに捨てようとしている。

それを見た増川があわてて阻止に走った。


あんな形で構ってほしいとアピールされてもなぁ。

それにいちいち増川が付き合うから、升も半分わざとやってるんだけどさ。


って、話がそれた。

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