第3話

いっきによみがえってくる。

埃っぽい校庭のまぶしさ、飛び込んだ体育館の思いがけない暗さ、ぬるい水道水。

あんまり正統派に学校生活を楽しんだクチじゃないのに、おかしなほど懐かしい。




開祖の直系とはいえ、俺も普通の公立小学校・中学校に通っていた。

升と増川はその時以来の友達だ。

2人とも両親がうちの信者で、最初は下心(団体内部での出世とか名誉とか)があって、息子たちを俺に近づかせたらしい。

その思惑に乗るのはシャクだったが、それ以上に俺らは気が合った。

2人もそれをわかっており、大学卒業後は俺の側近として付いてくれている。



升「チャマが候補者なわけ?」

藤「なんで一人だけこんな若いんだ」

増「さぁ」

藤「その前にさ、たしかチャマって転校したよな」

増「ていうかうちの信者だったんだ…。しかも幹部選に出ちゃうレベルの…」

升「直井…ん?待てよ。直井、そうか直井か!」



升が急に何か思い当たったらしい。

ていうか、3人が3人とも候補者をきちんと把握してなかったってのは問題だな。

よし、こいつら2人あとでシメよう。


俺?俺はいーの。

教祖は他のことでも色々忙しいから(笑)

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