以降
第16話
それから7年後。
放射線医長の山村が、その地位を増川に引き継ぐと宣言した。
升は事務局長となり、病院運営になくてはならない存在になっている。
直井は、栄養士として働くかたわら、院長秘書も兼務するようになった。
そして、藤原は。
直「院長、おはようございます」
藤「うぃ」
直「だーっ、もう藤くん!今日は記者会見でしょ!なんで白衣着てんの!」
藤「いや、だって会見は午後からだし、午前中は診療できる…」
直「診療は明日の先生と替わってもらったってば!とにかく今日はダメ!」
藤「なんでだよぉ~」
直「ったく、現場第一主義もほどほどにしてよ、院長…」
病院史上最年少の、もっとも権力者らしくないルックスの院長となっていた。
今日はこれから、新病棟完成記念の記者会見が行われる。
7年前の大災害を教訓に、藤原と升の主導で造られた一大建造物だ。
病室や診察室はもちろん、廊下や待合ロビー、受付など、院内のいたる所に救命装置や酸素噴出機能を備え付けた、“災害時特別対策病院”。
―――わかりやすく言うと、“いつでも野戦病院化が可能な病院”である。
藤「これで、地震でも富士山噴火でも、いつでも来いだぜ」
直「…なるべく起きてほしくないけどね」
升「院長、用意できたか?そろそろ行こう」
増「あ、秀ちゃん待って!ネクタイ曲がってる!」
会見場に向かう藤原と升を、増川と直井がサポートする。
すでに引退した国木田と山村は、テレビ越しに4人の絆を見てくれているだろうか。
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