第17話
会見は、無事に終了した。
集まったマスコミ関係者からは、「ここまでの設備の建物を造るのは無駄だという意見は出なかったのか?」という質問もあった。
もっともな質問である。
いくら7年前の災害を教訓にしたとはいえ、そう頻繁に野戦病院化するような事態は起きないだろう。
しかし、藤原と升は自信を持って言った。
藤「もっとも医療が必要とされる非常時に、病院が機能しないようではまずいでしょう」
升「万一に備える。災害対策というのは、そういうものです。それに、この建物のせいで一般診療費を上げたりはしておりません」
藤「もしまた“万一”が起きてしまったら。その際はどうぞ、うちの病院へ患者を運んでください。全力で対応させていただきます」
今夜は、久しぶりに4人で食事をする。
あのレストランで、安いワインをあけるのだ。
乾杯の名目は…やっぱり新病棟完成記念かな。
それとも、ヒロの医長就任祝いかな?
まぁいっか、何でも。
4人で楽しく飲み食いできれば、何でも。
ドアの向こうでは、ヒロが放射線科の新人くんにアドバイスを与えている。
藤くんと秀ちゃんは、コーヒー片手に談笑中。
さて、俺もそろそろ行きますか。
会場の片付けをしながら、直井はひとり、微笑んだ。
【了】
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