第14話

新設されたこの病院へはみ出し者コンビを送り込んだのは、当時の大学の恩師だったという。

ふたたび目の前で作り上げられていく派閥にうんざりする中、国木田が出会ったのが藤原だった。



国「研修を終えたばかりの新人なのに妙に落ち着いているし、仕事も的確だ。そのくせ、内科や外科の連中が集う、いわゆる“花形”の派閥には興味を示さない。たまに誰かと一緒にいるかと思えば、事務員だったりする。…まぁ、升くんは院長との繋がりがあるが、性格的にリーダー向きではない。どうも生き方が不器用そうな男だと思ったよ」


藤「…いや…べつに、そんなことは…」

増「ないの?」

藤「なんでおまえが聞くんだよ!」

増「ごめん(笑)」



そんな2人のやりとりを、国木田は微笑ましげに見ている。



国「今は、生きにくくはないだろう。増川くんと、升くんと、あと栄養士の…」

藤「直井です」

国「そう、直井くん。君たちがいてくれれば大丈夫だ」

増「…はい」



照れくさそうに視線を絡ませ、2人は笑いあった。

国木田は、その様子を満足げに見ていた。

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