第10話

直「見なよ、あれ。薬剤部の女の子軍団」

増「え?…あぁ」

直「秀ちゃんを見る目が、完っ全に、昨日まで藤くんを見つめてたソレになってるね」



確かに、そのとおりだった。



直「あいつら、いつも秀ちゃんのことバカにしてたんだよ。しゃべり方がタルいとか、猫背で冴えないとか、コネで働けてるだけだとか…」

増「何それ。ふざけんなよ、ろくでもねぇ奴らだな」



そんな上辺しか見ないやつらに、秀ちゃんの良さがわかってたまるか。



直「ま~でも、今日でそんなふざけた評価も変わるっしょ。見ろ、あの子たちのゲンキンな目を。今日の功績の半分は、事務対応を仕切ってくれた秀ちゃんのおかげだからね」

増「…そっか」







国木田医師の病院到着から、40分後。

ヘリが病院の上空にやってきた。


升は男性職員を集めて、中庭にテント布を幾重にも広げる。

解毒剤の詰まったケースが、落とされた。


直井は、升からそれを受け取ると同時に走った。

救急処置室で待ち構えていた藤原・増川・山村の3人が、次々と薬を開封していく。




命は、つながれた。

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