決断

第4話

その朝、夜勤明けで目元にクマをつくった増川は、眠気と戦いながら自分のアパートに戻った。

何気なくつけたテレビの画面に映し出されたのは、信じられない光景だった。




わずか30分ほど前、病院にほど近い工場で発生した大火災。

おびただしい数の負傷者。

住宅や商店、工場が密集するエリアで、消防車も救急車も立ち往生している。


大喧噪で逃げまどう群衆をバックに、衰えを見せることのない火の海のなかから、時折“…ドォン!”という不気味な爆発音が聞こえてくる。

危ない。

あれはきっと、工場にあった薬品が爆発しているんだ。


命がけで現場レポートを続けるアナウンサー。

バラバラと響くヘリの音。

真っ黒な煙と、黄色や青も混じった火柱が吹き上げている。




死者は確認されているだけで24名、行方不明者は現時点で100名を超すらしい。

負傷者の数は…想像もつかない。

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