第5話

不意に、携帯電話が鳴った。



升「ヒロ!今どこだ!」

増「……家。夜勤明けで、さっき帰ったとこ」

升「テレビ、見れるか」

増「もう見てる」

升「なら話は早い。今、事務局は救急センターからの電話でてんやわんやだ」

増「うん」



もはや火災とか事故とかいうレベルじゃない。

あれは大規模災害だ。



升「今、緊急で医長会議が開かれてる。もちろん、院長と理事長も一緒にな」

増「負傷者、受け入れるの?何人くらい?」

升「それが…会議がまとまらないらしい。いつもまとめ役をしてくれる国木田先生と、何故か今日に限って連絡が取れないらしくて」



はぁ?

増川は思わず呆れ声で叫んでいた。



増「何それ!てか、院長は何してんの。こういう時にバシッと命令するのが院長でしょ!」

升「………」

増「…いいや、とりあえず病院戻るよ。放射線に行けばいい?それとも、救急処置室?」

升「救急室」

増「了解」






テレビを消す寸前、また“…ドォン!”という重苦しい爆発音が響いた。

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