第4話
俺の気持ちを汲んでくれたかのように、カバンが改札に引っかかる。
よく見たら、リールがはみ出して邪魔をしているのだ。
何だよ…結局3人そろって、チャマを引き留めたいんじゃないか。
それでも、チャマが困ったように俺の方を見るので、急いでそっちに向かった。
手伝おうとしてくれた駅員さんを丁寧に断って、俺がリールに手をかける。
あっけないほど簡単に、カバンは改札を通り抜けた。
2人で歩を進めた。
ホームには光の粒が満ちあふれていた。
汽車はすぐに来て、ドアが開く。発車ベルが響き渡る。
直『帰ってきたら、また会おうね。約束だよ』
震えた声を残して、チャマは行ってしまった。
俺は何もこたえられず、うつむいたまま手を振るのが精一杯だった。
あまりにも別れがあっけなくて。
あまりにも現実味がなくて。
―――――――、
気がついたら、自転車のペダルをすごい勢いでこいでいた。
風より、音より、光より、もっともっと速く。あの汽車に追いつけ!
願ったりしない、俺は必死で抗う。
汗だくで、それでも必死で両手を振った。
見えてるか?チャマ、見えてるか?
1人で泣くな、俺はここにいる!
絶対に戻ってこいよ。俺も升も増川も、もちろんおまえの家族も、みんなみんな待ってるから。
必ず、また会おうな!!
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