陽光

第6話

増「あっ、いたいた」

升「やっぱりここだったな」



笑い声をさらっていく夜風の先から、2人分の声が聞こえてきた。ヒロと秀ちゃんだ。


当たり前みたいに俺たちを見つけて、当たり前みたいに手を振ってくれる。

そんな関係を築けたということが、どれだけ奇跡的なことか。目に見えないこの絆に、どれだけ救われてきたことか。



増「チャマ、聞いてよ!」

直『…ぁんだよ~』



飛びついてくるヒロと、のんびり歩く秀ちゃん。笑う俺。波を蹴る藤くん。

それは、あまりにいつか見たような光景で。

妄想かもしれないけど、俺たちの歴史のどこかに絶対あった気がして。

とても、とても胸がぎゅっとなって。



増「それがさぁ、俺が行ったら、秀ちゃん刺身の切れっぱしでビール飲んでんの」

直『え?風邪は?』

増「こうすれば治る気がするとか、わけわかんないよね」

直『つーか切れっぱしって何』

増「閉店間際の半額だって、スーパー」

升「違うって。もともと切り落としみたいな端っこだけ集めて安く売ってるんだよ」

増「でも、それのさらに半額なんでしょ」

升「……」



秀ちゃん主夫疑惑。



直『まぁまぁ。味はかわんないもんね』

藤「たしかに、品質は大丈夫、かな?」

升「…そうだよ。端っこだってうまいんだぞ」



あ、主夫のぼやきが聞こえますねぇ。



直『ねぇ藤くん、このネタで1曲かいてよ』

藤「はぁ?」

直『俺たちは~♪刺身で言えば~♪』

増「言えば~、…切れっぱし~♪」

藤「おまえら(笑)」

直『で~も、そこだけ集めれば~♪』

増「店に並ぶことが~♪で~き~る~♪」

直『普通より安い~けど~♪(秀ちゃん!)』

升「…み、みんなが手に取りや~す~い~♪」

直『端っこだからって~♪なめんなよ~♪』

直増「『端っこ~端っこ~♪♪』」

藤「すげぇ…、BELIEVEよりすげぇ(笑)」



次の隠しトラックにどうでしょうか、“端っこ”。

テンションから言ってもそんな感じじゃない?

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