第7話

そのまま、日の出まで海辺にいた。

俺が買った山のような花火も、4人で全部消費した。


秀ちゃんの風邪は治ってるみたいだった。

藤くんは一度も仕事のことを口にせず、淡々と花火をしていた。


ロケット弾に火をつける役は、ヒロに押しつけられた。(あいつジャンケンで勝ったのに)






朝焼けのなか、腹減ったとか喉渇いたとか言って、またあのコンビニに行った。


適当に買い物してから秀ちゃんの実家に行って、みんなで雑魚寝した。


あの頃と何も変わらなかった。

うっすら見た夢のなかでは、部活帰りの俺たちが笑っていた。




―――これからもずっと、ここが俺の居場所でありますように。




そんなことを寝ながら思い。

閉じたまぶたにもわかるくらいまぶしい朝陽を感じながら、寝返りをうち。

…そのまま昼をまたぎ、午後になり。


それでも眠り続けた。

ここは安心して目を閉じていられる場所だから。








藤くんの携帯が鳴る音で、ぼんやり目を開ける。

プロデューサーからみたいだ。


あぁ、スタジオ行かなきゃいけないんだな。

まだ眠いとぼやきながらも、彼は妙に機嫌の良さそうな顔で支度にかかった。


待って待って、一緒に行こうよ。俺らもすぐ準備できるから。だから4人で行こう。



直『ヒロ!いつまで寝てんだよ!』

増「んぁあ?」

直『ほら秀ちゃんも!2人で先行っちゃうよ!?』

升「ぅあー…んだよ、待てよ…」






それは、4人の束の間の休息。

きらきら輝く太陽と海だけが見ていた、幼なじみの歴史の1ページ。












【了】

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