第43話 本圀寺の変・前編

 冬の京都、冷たい風が吹き荒れ、雪が街を白く染めていた。

 信長が京を離れた隙を突き、三好三人衆が暗躍し始めた。

 宗則と兵士たちは警戒を強め、防衛の準備を急いでいた。


12月24日、松永久秀が信長の元に赴くと、三好三人衆はその動きを見計らって行動を開始した。

 12月28日には、かつて美濃国を治めた斎藤龍興を先鋒に据え、将軍派の砦を攻め落とした。

 翌年1月2日には堺から出発し、4日には東福寺付近に陣を敷いた。


「今こそ、義昭を討つ時が来た。京を手に入れるのだ」


 三好長逸が口を開き、冷静に命ずる。


「まずは京の拠点を攻め落とし、将軍の撤退路を断つのだ」


 三好康長が力強く続けた。


 岩成友通も黙って頷き、軍勢は着々と進軍の準備を整えた。


 将軍派の重要な拠点には三好義継の家臣たちが守りを固めていた。

 しかし、斎藤龍興率いる三好軍が激しい攻撃を仕掛け、夜を徹してこの拠点を攻め立てる。


「ここを死守せよ!」


 義継の家臣たちは奮戦したが、斎藤龍興の執拗な攻撃に耐えきれず、ついに陥落してしまう。


 この報せを受けた義昭は、本圀寺に避難する決断を下す。


「全員、予定通り本圀寺に移動し、再編を図るのだ!」


 宗則も義昭の側で、迅速に準備を進めた。


「義昭様、この地で再編して戦局を逆転させます」


 宗則が冷静に進言する。


「そうだな。援軍を求めるため、細川藤孝や北河内の三好義継、摂津の池田・伊丹衆に連絡を取ってくれ。」


 義昭が指示を出し、周囲の織田方勢力へ援軍を要請した。


 本圀寺に籠城した義昭と宗則は、防衛準備に取り掛かる。


「皆、この本圀寺が最終防衛拠点だ。全力で守るのだ!」

 

 宗則の声が響く。


「信じろ、京は我々が守るのだ!」


 兵士たちの士気も高まり、戦意が漲っていた。


 事前に柴田勝家を通して示し合わせていた、柴田隼人の隊は近江八幡に駐屯していた。

 彼らが救援に駆けつけることが宗則の心に希望を灯していた。


 一夜明けた翌日の昼、三好三人衆は1万余りの軍勢を率い、本圀寺への総攻撃を開始した。

 宗則と兵士たちは必死に防戦しながら援軍の到着を待ちわびた。


 冷たい雪が降り続く中、兵士たちは宗則の指示に従い、最終防衛準備を進めていた。


「敵が迫る時が来た。皆、覚悟を決めて全力を尽くすのだ!」


 宗則の声が寒風に乗り、兵士たちの心を引き締めた。


続く…

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