第17話 失脚の序章

 春蘭、蓮、そして宗則が向かう先は、二条家の衰退と近衛派閥の陰謀が絡み合う激動の渦中にある。

 宗則は二条家の動向を冷静に分析し、その先に潜む危機を感じ取っていた。


「二条家の衰退は、既に避けられぬ運命だ。」

 

 宗則は静かに、だが確信を込めて言った。


「そのためには、どう動くべきか?」


 春蘭が問いかける。

 宗則の冷徹な計略に引き寄せられるように、蓮もその視線を向ける。


「まず、二条家を内部分裂に追い込む」


 宗則は即答した。


「その隙に近衛派閥の力を強化し、二条家を孤立させるのだ。」


 蓮はうなずきながら、冷徹な眼差しを宗則に向けた。


「それができれば、我々にとっては有利に事が運ぶ。だが、実行には慎重を期すべきだ。」


「その通りだ。」


 宗則は短く答え、さらに続けた。


「ただし、近衛派閥としても、二条家の力を完全に削ぎ切るわけにはいかない。それが可能なタイミングを見計らって、手を打つべきだ」


 春蘭はその言葉に鋭い反応を示す。


「つまり、あまり早く動くのは禁物だと?」


「はい。焦りは禁物」


宗則は冷静に答える。


「計略を仕掛けるタイミング、手を打つべき場所を見極めることが、今は何より大事だ」


 蓮はその言葉を心に刻みながら、次に言葉を続けた。


「二条家が孤立し、失脚する時、我々がその機会を掴むのだな」


「その通り」


 宗則は静かにうなずき、


「そして、その時に備えて、我々は次の手を打っておく必要がある」


と付け加えた。


 春蘭は少し黙り込むと、ゆっくりと口を開いた。


「父が二条と懇意だったことが、今になって重く感じる。」


 その言葉には、ただの不安ではなく、深い葛藤が込められていた。


「叔母上。」


 蓮がその心情を理解しながらも、やや苦しげに言った。


「あなたが二条家との誼を感じているのは分かる。しかし、このまま何もせずにいるわけにはいかない。私たちが動くことで、この国の未来が変わるのだ。」


 その言葉に春蘭はしばらく黙り込み、再び言葉を発した。


「分かっているわ。しかし、私の父の想いをどうしても無視できない」


「その思いも尊重するが、今は私たちの判断が必要だ」


宗則は冷静に言った。


「二条家が衰退すれば、それが新たな力を生むことになる。近衛派閥がその力を握るのは、避けられない道だ。」


 その後、話は進み、宗則、蓮、そして春蘭のそれぞれが抱える思惑と葛藤の中で、次の計略が着々と整えられていった。


続く

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