第5話 優凛のヒミツ。
【優凛】
優凛には秘密があった。
秘密というか、あまり他の生徒達に知られたくないことが。
それは優凛が帰国子女だってこと。
中学1年生~3年生までの3年間、親の仕事の都合で、とある海外の国に住んでいたらしい。
どこの国だったかは内緒にしとくね。優凛が内緒にしたいってさ。理由は知らんけど。
優凛は自分が帰国子女であることを、他の生徒達に知られるのが、ものすごく嫌だったんだよね。なぜなら……。
「出る釘は打たれる」と強く思っていたからなのさ。それって何?と思っている方がいるかもなので、少し説明するね!
「出る釘は打たれる」っていうのはさ、人と違う才能とか特技があることを理由に、他の人からひがまれたり、嫌われたりするってことなのよ。
この時の優凛は
「帰国子女(海外に住んでいた経験があって、英語が得意な人)はみんなからいじめられる」って決めつけていたみたい。だって、そういうのってさ、周りから見たら、羨ましいかもしれないじゃん?
つまり、みんなにないものを持っている自分は、みんなからいじめられるんじゃないかなって不安になってたってこと。
だから、そのことは誰にも教えないでいよう、と入学前に決めていたのさ。
しかし、入学式のあと一緒に帰った友達(Rちゃん)に、つい口を滑らせて話してしまったんだって。優凛は言ったあとに、我に返ったが、そのころにはもう遅かったの。
「あんなに言わないって決めていたことを、どうして簡単に言ってしまったんだろう」と優凛は後悔した。自分で蒔いた種だから、仕方ないっちゃあ仕方ないんだが、優凛は後悔せずにはいられなかった。
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