第3話 お前それ、かっこよすぎんだろが!

【優凛】

入学式から約1週間後。


初めての体育の授業の時間。優凛はそれを目の当たりにすることになるのよ。



体育の授業は男子と女子で分かれていて、それぞれ違った運動をしていたのさ。その時、優凛達女子メンバーはバレーをしていた。

優凛の心の中は

「あぁ、嫌だなぁ。あんな高いところから来たボールをどうやって跳ね返せばいいんだよ。まぢで、無理だわ」そんな気持ちでいっぱいで、そこから逃げ出したかったんだって。


運動が苦手なのは、昔から……。いや、生まれた時から?で、優凛はそのことをコンプレックスに感じながら生きてきた。

思えば小学校の体育の授業も嫌すぎて、その前の授業が終わるころになると、決まって憂鬱な気持ちになっていた。


「まぢで、ほんと!体育なくなって欲しい。そのためなら、なんでもするから~~!!」なんて考えてたんだよね、優凛はさ。



はい!余談ですが、服部も大の運動嫌いです!まぁ、どうでも良くてごめんね。笑



それで、ここからなんですが~


ふと男子の方を見てみると、そちらではバスケをやっていて、男達が勇ましく?走り回っていた。


優凛は

「うっわ~これ、バレーよりヤバいやつじゃん!!よくあんなもんやっていられるよなぁ」そう思わずにいられなかった。なぜなら優凛は……。


バスケがいっちばん苦手だったから~~~~~!!!


服部もぉお〜〜!!!笑

いや、言わんで良いわ、そんなん!


話戻すね!


優凛が小学生だったころ。そう、体育の授業でバスケをやっていたとき。グループがABCに分けられていたの。Aが一番上手でCが一番へたくそ、という振り分けだったんだよね。

もちろん、優凛がCグループに入っていたのは言うまでもなく……。


このころの優凛はボールが怖くて怖くて仕方なくて、ゴールから反対側に走って逃げていた。

「自分から行って、パスをもらうなんて、ありえなさすぎる。あたしにできるわけね~だろが」優凛はそう思っていた。



バスケをやっていた男子生徒達の中で、ひと際目立つ男がいた。ソイツの動きはとりあえずカナリかっこ良くて、バスケのことなんて全く知らない優凛も


「きゃ~~~♡♡」

と心の中で叫ばずにいられなかった。


次の瞬間、優凛はびっくりして、目が飛び出るような感覚に陥った。

なぜなら

それが……。


海斗だったから!!!


「おい、まぢかよ!あれ、アイツなのか??あたしの目、おかしくなっちまったのか!?いやいや、そんなことはない。こないだ、眼科で視力1.5って言われたばっかなんだから」

だけど、なぜだか優凛は、海斗のその姿を追わずにいられなくなっていたのさ。


「いやいやいや~~。アイツ、あんな特技あったのか?なかなかやるじゃんか、メメオめ」

メメオというのは、優凛が海斗に付けたあだ名だった。海斗が普段女々しいことからそう名付けたらしい。


ん?優凛、意外とネーミングセンスあるじゃん?って、服部が言ってるよ~~!


話戻すね~~!


優凛はしばらくの間、海斗の動きばかりを見つめていた。


そう、ただただ、彼の動きだけを。

もう、どっちが勝ってるとか、そんなのは関係なくなっていたのさ。


そのとき優凛は海斗のことを少し見直したみたい。

というか彼が見せたそのギャップに、心がついていかなかったようだった。

それが優凛が海斗に惹かれる、最初の出来事になったのは言うまでもない。

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