重みは死でしかつけられなかった小説家の話
アサツユ
表現者としての意地
私の文、言葉には重みがない
友人曰く、雰囲気は作れているが
どうも言葉に重みがないらしい
ちゃんと情景を頭の中で描き、言葉を選んでいるのに
意味も考え、選んでいるのに
他の人の作品ではちゃんと重みがある
だからこそ自分の作品に重みがないのを実感する
そう、私が一番実感しているのだ、実は
少女が川の中で夢を見る話も、
片割れに成り変わる話ですら
どんな話でも使っている言葉、文章に重みがない
となれば、私自身の印象になってくるだろう
私が嘘つきだからか?
私がよく相手のことを考えないからか?
私が自分自身を愛していないから
それとも、私が中途半端だからか?
もし、これ全てが原因だとしたら
もはや一生をかけてなおし、
文章に重みをもたせるしかない
一生ってなんだ?死ぬまで治らなかったらどうする?
私は、死ぬまでに人の人生を引っ掻き回すような
作品を作りたい、それこそ一生をかけてでも
だが、死ぬ前に作らないければ意味がない
作品の途中で作者が変わるなんて言語道断
たとえどれだけ私の理解者で書きたいことが
伝わっていたとしても
それでも私の名前を変わらず、
この考えに手を差し伸べさせず
作品を作り終えて、死ななきゃいけない
いや、むしろ死のう
そっちの方が作品をより読み解いてくれるだろう
もしその読み方が私の意図に反していたとしても
人の人生をちょっとでも引っ掻き回せているんだ
それでいい、それがいい
視界がぼやけた中で完成させた作品を、
親友に、誤字脱字、訂正をお願いして預けた後
私は冬の海に包まれた
重みは死でしかつけられなかった小説家の話 アサツユ @asatuyu-namida
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