20. 皆が褒めてくれる?びゃあ゛ぁ゛゛ぁきんもぢいいいい!
「
「
「
「や~どうもどうも。人気者で困っちゃうな」
マスコミに囲まれた
彼女は今、駅前火事があった街の消防署に訪れている。
駅前ビル火災の消火活動に協力したことによる感謝状を受け取るためだ。
山火事の方はまた後日感謝状を受け取ることになっている。
消防署の近くはマスコミや野次馬であふれかえっていて、どうにか整理しようと警察官の怒号が響いている。
全ては
車で移動するとちやほやされにくいと思った
「はい、どいてどいて。通して下さーい。
「はいはーい」
「はいは一回!」
「はーい」
マスコミの包囲から
「ほら、中に入るよ!」
「急がなくっても逃げないって」
「だから待たせるのが悪いって言ってるでしょ!」
チヤホヤされまくりで、まもりに怒られようが今日の
なお、流石に今日はまともな服装にするようにとまもりがコーディネートして、歳相応の皴の無いフォーマルな装いだ。元々が本当に美少女であるため、非常に目を惹く見た目になっている。表情が全部を台無しにしてしまっているが。
「こちらへどうぞ」
消防署の中に入ると、消防員の方が控室に案内してくれた。
するとそこには
「
「双葉ちゃん!」
「私もいるぞ」
「一葉さん!」
更科姉妹が駆けつけてくれたのだ。
「来てくれたんだ!」
「
「たっぷり堪能していってね」
「はは、
「一葉さん、もう退院されたんですね」
「ああ、元気すぎるから出ていけって叩き出されたよ」
「あははは!」
ゲームの中でも外でもお世話になっている更科姉妹とはかなり仲良くなった。これまでは一葉が入院中ということもあり一緒に遊ぶ時間は限られていたが、退院したということはこれからたっぷり遊ぶことになるだろう。
「あ、あの、
「菜乃羽ちゃんも来てくれたんだ」
「も、もちろんです!」
そして出会ってからの時間は短いが、お泊り会をしたことでぐっと距離が縮まった菜乃羽もまた、
本当は彼女達の両親が来たいところだが、流石に三権分立の二つの長が直接会うわけにはいかず、しかもマスコミが大量にいるところとなれば更に難しく、娘達に譲った形になる。
「うう、いつの間にか
ゆらりと怪しいオーラを漂わせるまもり。
そんな彼女に更科姉妹が話しかけて来た。
「まもりさん、ですよね。
「ああ。特に阿吽の呼吸で
「ありがとうございます。
「…………」
「…………」
自分が無自覚にマウントを取ろうとしていることにまもり本人だけが気付いていない。
「はは、聞いていた通りの人物だな」
「気を付けないと……!」
「?」
更科姉妹の警戒度が上昇したような気がして、不思議がるまもり。だが姉妹は警戒しながらも距離を縮めようとしてくれた。
「
「機会があればFMOでも一緒に遊びましょう!」
「あ、はい。
「(こいつやべぇ)」
「(やばすぎです!)」
自分が
「南城さん、準備が出来ましたのでそろそろよろしいでしょうか?」
「は~い!」
元気よく返事をし、
「じゃあ行ってくるね!」
「頑張ってください!」
「頑張れ」
「ふぁ、ファイトです!」
三人が応援する中、まもりだけは違う言葉を投げかけた。
「ねぇ
「え!?何々!?」
「簡単よ。表彰状を受け取る時だけで良いから、キリっとした表情になりなさい」
「それだけ?」
「それだけ。美少女が着飾ってるんだから、そのだらしない表情を止めたら映像映えして大人気間違いなしよ」
「う~ん……なら少し頑張ってみる!」
どうやら
「素晴らしいアドバイスじゃないか!」
「綺麗な
「さ、最高のアドバイスです」
更科姉妹と菜乃羽は絶賛の言葉をまもりに投げかける。
「せっかく着付けたんだから、綺麗なところを見せて貰いたかっただけですよ。ぐへへ」
「「「(うわぁ)」」」
そう答えたまもりの表情はあまりにも気持ち悪くデレデレと歪んでおり、こいつ
--------
キリっとした表情で感謝状を受け取り、配信を見ている全ての人を虜にした
「何でもお答えしますが、質問の前に必ず褒めてください!」
前代未聞の宣言でマスコミ達を困惑させた会見は日本中から大反響を受けながら進んで行く。
褒められて注目されていることが嬉しすぎるのか、その顔はだらしなく歪んでおり感謝状を受け取った時と同一人物とは思えない。
「▽〇テレビの棚橋です。この度は多くの人を助けて頂き、誠に感謝しております」
「えへへ、それほどでもあるよ」
「……南城さんは」
「美少女JDの南城
「……美少女JDの南城さんは」
なんとこの女、記者会見でも己のことを美少女JDと呼ばせている。意味の無いゴシップ的な質問や失言を狙う質問ばかりすることで普段は炎上する記者たちも、今日ばかりは日本中から同情的な眼で見られていた。
「FMOではメテオフォールという強力な魔法も覚えられるそうですが、それを覚えてリアルで使いたいと思いませんか?」
リアルで魔法を使えるなど危険では無いか。
そういう流れにもっていきたい記者による悪質な質問が来た。
もちろんそんな質問だろうが
「え、良いの?」
「え?」
「流石に危ないからそういう強い魔法は覚えなくて良いかなって思ってたんだけど、そうやって質問してくれてるってことは覚えて欲しいってことだよね。じゃあ頑張っちゃおうかな!」
「な!」
これで記者の目的は達成された。
だがそれと引き換えに、その記者は世界の敵として認知されるようになった。
お前が余計なことを言ったせいで。
世論からも同業者からも目の敵にされた記者は、この先まともな人生を歩むことは出来ないだろう。
ちなみにメテオフォールなどの超強力な魔法は魔法職でなければ覚えることが出来ず、
そんな
「流石だな。歴戦の記者達をこうも翻弄するとは」
「あの腐れ記者ざまーみろ」
双葉が珍しく汚い言葉を発しているが、それは父親の会見の時にいつも嫌な質問をする記者が
「で、でも大丈夫でしょうか。て、敵を増やしたら
菜乃羽が心配なのは、有名人となった
そうならないために、山火事対応で中途半端な有名人から誰もが知る有名人へとクラスチェンジさせたのだが、それでも心配なものは心配だ。悪い奴というのはどんな状況でも仕掛けてくるものなのだから。
「大丈夫だ。
「
「そ、そうだったんですね。
「(聞かなかったことにしよう、そうしよう)」
一般人の自分が聞いてはいけなさそうな裏社会の話が耳に入り、必死で忘れようとするまもりだった。そんなまもりも実は三つの内のどれかに守られている。
「(まだ不安は残るけど、大丈夫なのかな?)」
ゲーム内アイテムを持ち帰ることが出来て、魔法まで使えるようになった。
ちょっと目を離しただけでこんなにも異常なことをやらかしてしまった幼馴染の事がまもりは心配でならなかった。だが彼女がやらかすにつれて彼女を守りたいと思う人々も増え、結果として彼女は笑顔で人生を堪能出来ている。
世界中から褒められてだらしない顔を晒している
もちろん彼女がどのような道を選ぼうとも、まもりは決して彼女から離れるつもりは無いが。
「お姉ちゃん、
「そうだな。テレビタレントとして活躍するのかも知れないな。
正確には多くの人に褒められるのが好きなだけである。
もちろんテレビに出てチヤホヤされるのが大好きという点については間違っていない。
「そ、そうなんだ。え、FMOで遊べなくなっちゃいますね……」
FMOより楽しい物を見つけてしまったのならば、もうFMOには戻って来ないかもしれない。
一緒に遊べなくなることを菜乃羽は悲しみ、更科姉妹も複雑そうな顔をしている。
彼女が幸せならばそれが一番だ。
そしてその上で、彼女と一緒に遊びたかったからだ。
「そんなことないですよ」
三人のネガティブな未来を、まもりはばっさりと斬って捨てた。
何故なら
『ねぇ
『うん。すっごい楽しそうだし、皆が褒めてくれるし』
『そっか。じゃあ忙しくなってFMOはプレイしなくなっちゃうんだね』
『え?』
『だって多分テレビで引っ張りだこになってゲームする時間無くなるよ?』
『そんなの嫌!それならテレビ出ないでゲームする!』
褒められることが大好きな
「
「そうなのか!」
「やった!」
「う、嬉しいです!」
三人、いや四人は分かっていなかった。
それは
世界がまたしても彼女に驚かされる日が来るかもしれないということを。
「(何があっても私は貴方の味方よ)」
ライブの時に彼氏面彼女面するオタクのような心境のまもりの前で、
「山火事の時にび、美少女JDの南城さんと一緒にいた方について紹介して頂きたいのですが」
「まもりのこと?」
「(え、私?)」
腕を組んで見守っていたまもりの顔が一気に青褪める。
「まもりは私の
「!?」
普通に紹介してくれたという予想外さと、『大切な』と言ってくれたことにまもりは感動した。
思わず瞳が潤み、涙が零れてしまいそうな程に。
だがそれは早とちりだった。
「でも最近は私を見る目が怪しくてちょっと怖い」
「ちょお!?」
いきなり雲行きが怪しくなり、浮かんだ涙が引っ込んだ。
「やっぱりアレかな。高一の時に貧乳なのを気にして……」
「やめろおおおおおおおお!」
慌てて会見に乱入して口を閉じさせようとするが、後一歩遅かった。
「大きくするために私に揉んで欲しいってお願いしてきた時に目覚めちゃったのかな」
「ぎゃああああああああ!」
世界中が注目している会見だということは、もうまもりの脳内から抜けていた。
今はどうやって目の前の愚か者を封じるかしか考えられない。
「どうしてあんたはいつもいつもいつもいつも言っちゃダメなことばかり言うのよ!」
「別に言ったところで減るもんじゃないしいーじゃん!」
「どこ見て言ってるの!」
「まな板?」
「コロス!絶対コロス!」
「ぎゃああああ!お巡りさん助けて!殺人宣言ですよ!」
「ひ~ら~き~」
「びゃあ゙ぁ゙゙ぁ!助けてええええ!」
記者会見の場での前代未聞の乱入からの大喧嘩。
この配信を見ていた視聴者達は次々とネットにこう書き込んだという。
てぇてぇ。
「「てぇてくなーい!」」
--------
あとがき
記者会見で暴走するのはダメ、ゼッタイ!
ということでこれにて本作は完結とします。
あんまり伸びなかったですからね、仕方ないです。
一応もう少し続きのアイデアはありますが、このくらいにしておきます。
なお、本作は未投稿未執筆の別作品と同じ世界観の作品になります。
運営側の秘密とかは別作品側で明かす予定です。
執筆することになるかどうかは分かりませんが、投稿を始めたらよろしくお願いします。
ということで、短い話でしたがここまでお読みいただきありがとうございました。
ネットリテラシーが無さ過ぎるJDが褒められたくて人助けするお話 マノイ @aimon36
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