第7話

「え、亜衣? 康之さんはどうして…」


「部屋にいます。とりあえずこの話は保留ということになりました」


「え…?」



両親があたふたとする中、御堂家の両親に目を向ける。



「すみません、私達はこれにて失礼します」


「あ、亜衣さん…っ」



焦ったように御堂の主人が私の名前を呼ぶ。



「愚息が何か失礼を…?」


「いえ…。でもまだ悩んでるようでしたので。話し合った結果、一旦保留にするということに決めました」


「それは…」



御堂はどうなるのか、と怖々とした表情を浮かべる主人に、少し困ってしまう。お父様に目を向けると、少し息を吐いて、「その話はまた今度にしましょう」と笑みを浮かべた。






「亜衣、急にどうしたんだ。あまり勝手なことばかりするな」


「……すみません」



帰宅する途中、お父様にそう窘められて、拗ねた声で返事をする。


だって、あの人があまりにも嫌そうだったから。


そりゃあ政略結婚なんて嫌だと思うけど、あんなに態度に出さないでもいいじゃないか。


私の家が助けないと御堂は危ないって、わかってるのかな。



家に帰って自室に入ると、すぐにノックの音がした。

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