第7話

「どうした?」


「え、あ、ううん。西地区がどうかしたの?」


「いや。西でちょっと前にでかい顔してた男がいたんだよ。若くて顔も良くて、すげぇチヤホヤされててな」


「へぇ…」



もしかして、その人ってこの前の…?


まさかと思って、稜さんに詳しく話を聞くと、この前会った彼に身体的特徴が似ていた。



「その人、何してる人なの?」


「確か、どっかのクラブのオーナーだった気が…いや、キャバだったかな…」



悩み込む稜さんに、私は落胆のため息をする。



なんだ…そういう系か。確かになんか普通の人とは違うオーラあったし…でも、もう一回だけ会ってみたいなぁ。



ぐっと遠い存在になってしまった彼に、なぜだかより興味を惹かれた。



「ねぇ、稜さん。その人のこと、何かわかったら教えてよ」


「良いけど…、なんだ、アイナちゃんもあいつ目当てなのか?」


「そういうんじゃないけど…、気になるの。そんな大物なのに、若くて、かっこいいんでしょ? 女として見てみたいじゃない」



そういうもんか? と首を傾げる稜さんに適当に頷いて、話を違う方向へずらす。



それからいろいろ稜さんと話をしながら、違う客への接客もして、その日の仕事は終わった。

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