第8話




早朝。家に帰ると、弟の聖那せなが部屋から飛び出るように起きてきた。



「あら、おはよう」


「姉貴…、帰ってたのか。やべぇ、今日はいつもより早く出なきゃいけねぇの忘れてた」



聖那はものすごいスピードで身支度を整えると、作業着を着てアパートを出ていった。



ぽかんと玄関を見つめてから、静かになった部屋を見渡す。




「もうちょっと早く上がらせて貰えばよかったな…」



朝食も食べずに出ていった彼に申し訳なく思いながら、シャワーを浴びて布団に潜った。




しばらくして、スマホの通知音に目を覚ます。



微睡む意識でスマホを見ると、稜さんからメールがきていた。



彼らしい短い同伴の誘いと、相談した彼の詳しい情報。




【確かSHELLYっつうとこのオーナーだ。名前は須崎尚也すざきなおやっていったかな】




SHELLY…か。確か西地区にある派手なクラブだったか。



ああいうとこって、確か会員制だよなぁ。



どうしようかと頭を悩ませてから、mirrorに来てくれるお客さんの連絡先を開いた。

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