第4話
「大丈夫?」
呆然としていた私は、その言葉にはっとする。
助けてくれたんだ…。
慌ててお礼を言おうとして顔を上げて、思わず体を強ばらせた。
なに、この人……超かっこいい…
驚く程整った顔にぽかんと口を開けながら、じーっと彼の顔を眺めてしまう。
助けてもらったことも相まって、まるで王子様のようなキラキラとしたオーラが彼から漂っている気がした。
「…どうかした?」
顔を見つめながら固まる私を不審に思ったのか、彼が首を傾げる。
私は慌てて頭を下げた。
「あ、あの…っ、助けてくれてありがとうございましたっ」
「そんな大したことはしてないよ。でも、高校生がこんな夜遅くに出歩いちゃだめだよ?」
「は、はい…」
柔らかな微笑みを向けられて言われたそれに、訂正もできずに顔を真っ赤にして頷く。
見ず知らずの女なのに、助けてくれて、注意もしてくれる。
なんて優しい人なの…
胸のドキドキが抑えられず、私は彼へと一歩近づいた。
「あ、あの、貴方の名前を…」
「美羽っ!」
横から聞き覚えのある声がして、私の言葉は遮られた。
見ると、マサくんが焦ったような表情でこっちに走ってきていた。
「マサくん…」
「美羽、良かった…。起きたらお前いなかったから」
「ごめん、ちょっと寝れなくて」
「こんな夜中に一人で出歩くなよ。危ないだろ」
「うん、ごめんね」
行くぞと言われ、手を引かれる。
後ろを振り向くと、さっきの男性の後ろ姿が見えた。
胸のドキドキが、まだ残ってる。
彼の姿が完全に見えなくなったところで前を向き、私は手を胸に当ててぎゅっと目をつぶった。
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