「ねぇ遊びに行きたい!」

「わかる」

 大学の学食で、ナホとハルトが叫んでいた。ここ数日、テストや講義が立て続いていて遊べていなかったこともあり、皆息抜きを欲していたのである。

「そろそろ5人で遊びに行かね?」

「行く行きたい!カノンちゃんいつ空いてる?」

「えっとね…今週日曜日だったら17時まで空いてるよ!」

 藍染さんの予定が空いているという事は、俺もシフトが入っていないので俺も参加できる。他のメンバーもその日は空いているようなので、ドライブしながら色んなところによることになった。テストの頑張りが報われる時が来た…とハルトは喜んでいたし、藍染さんは日曜日を思い切り楽しむために今のうちにできる限りの仕事を進めると意気込んでいた。そしてその日の夜、俺は初めて藍染さんが宇瑠間さんに声を上げているところを見ることになる。

「失礼いたします。カノン様、今連絡がありまして日曜日に予定していた打ち合わせを18時から13時に変更できないかという事なのですが、いかがなさいますか?特にその日は予定もございませんし、問題ないかと思いますが…」

「…ダメですよ問題大ありなんですけど⁉」

「な、にか御座いましたでしょうか、」

 睨めっこをしていたパソコンから勢いよく顔を上げて捲し立てたため、流石の宇瑠間さんもたじろいでいた。

「日曜日、僕も含めて大学の友達数人でドライブに行く予定なんですよ」

 2人の様子を見て咄嗟に口をはさんでしまったが…これは流石に仕事を優先しないといけないだろうな。

「そうだったんですか、それは外せないですね。では変更無しで調整しておきます」

「えっ、良いんですか?」

 てっきりダメなものだと思っていたため、少々拍子抜けした。あっさりと許可した宇瑠間さんの表情は心なしか嬉しそうに見えた。

「もちろんです。学生生活や友人関係は大切にしないといけませんから。それに、白井君が一緒なら安心して許可できます」

 まだここで働き始めて3カ月程だが、なぜか宇瑠間さんは俺をめちゃくちゃ信用してくれている。いや、うれしい話なんだけど。藍染さんが外食する時も「白井君が一緒なら大丈夫ですね」と毎度言われるくらい。

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