「ちょっと修正します」
「あと少し照明明るくなりますか?」
などと、データを見ながらテキパキと指示を出している。いつも仕事している時とはまた一味違う姿で、すんごいカッコいい。
「白井君お疲れ様!お昼休憩しよっか」
「え、もうそんな時間?」
集中していたからか、知らない間に13時を過ぎていた。
「めちゃくちゃ忙しそうだね」
「まぁね。でも楽しいよ?それに!白井君来てくれてるからすっごく助かってるしっ。私今から外に食べに行くんだけど、一緒に行かない?いつも行くパスタ屋さんがあるんだけど」
「いいね、俺も行く」
「じゃあ行こっか!宇瑠間、ちょっと外出てきますね」
「…大丈夫ですかカノン様、」
「大丈夫です!白井君と一緒に行くので」
そう言って俺の腕をグイっと引っ張った。…大丈夫ですか。って言うのはどういう意味なのでしょうか?社長って、そんなに生活が危険になるような立場なのか。
「そうですか、それなら安心です。白井君、お願いしますね」
「あ、はい」
お願いされたはいいが、何をお願いされたのかが分かっていない。
「…社長って危険なの?」
堪らず隣を歩く藍染さんに訊ねたてしまった。
「え?…あぁ、さっきの宇瑠間の事かな?あの人は…ちょっと、というかかなりの過保護なだけだよ?私の生活はいたって安全だし!」
ここだよ!と話を終わらせるかのように、藍染さんは目的地を指さした。いかにも隠れ家ですと言わんばかりにビルの奥まった所にあるパスタ屋さん。
「こんにちは」
「あ、カノンさん!お待ちしてましたよ。あれ、お連れの方ですか?珍しいですねっ」
「どうも…」
コンソメのいい香りとともに俺たちを迎え入れてくれたのは、ダンディーな男性だった。
「すみません少し遅くなってしまって…」
「全然大丈夫ですよ!今落ち着いたところだったので丁度良かったです。さ、どうぞどうぞ」
案内されたカウンター席に2人並んで座る。何でも、藍染さんは小さい頃からこのお店の常連なのだそう。赤木と名乗った店主さんが話しかけたことがきっかけで仲良くなったのだとか。
「で、こちらは白井君です。今私と一緒に働いてくれています」
「白井です、」
「よろしくお願いします。いやぁ、カノン様が若い方をお連れになるなんて嬉しいですねっ。あ、白井君は何か苦手なものとかありますか?カノンさんはここに来るといつもお任せで作らせてもらってるんですけれども」
「では、僕もそれでお願いします。特に苦手なものとかもないので大丈夫です。」
「かしこまりました」
レストランのドラマにでも出てきそうな雰囲気を醸し出している赤木さんの後ろ姿がかっこよすぎて、思わず男の俺でも見惚れてしまう。
「赤木さんの作る料理は、とってもカラフルな味がして本当に美味しいの!」
「…カラフルな味?彩が綺麗ってこと?」
「それもそうなんだけど、1つの料理の中に色んな味の色が隠れてるんだよね」
カラフルな味?と首をかしげていると、振り向いた赤木さんが優しく笑った。
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