「なぁダイさ、サークル入る気ねぇの?」

「サークル?うん、全くないな。多分俺に向いてない。どっちかっていうとバイトしてぇもん」

「えぇ大学生活だぞ⁉卒業したら嫌でも働かないといけないのに、今から働き詰めかよ…」

「本当だよね、私卒業したくないから院まで行く気だよ」

「私はどっちかって言うとダイ派かな。早くお金貯めていい部屋に一人暮らししたいもん。カノンちゃんはサークル入ってるの?」

 朝一、大学に集まった俺たちは、ナホとユウカの要望に応じて藍染さんの近くに座った。

「私?私も…働きたい派かな。一応サークルとかは入らないつもりだったし、白井くんと同じで向いてない気がするからさっ」

「そっかぁ。お金を稼ぐって大変…」

 ハルトとユウカは就職がよっぽどいやらしく、まだ1回生だというのに既に項垂れていた。俺的にはサークルのあのノリについていける方が凄いのだが…

「そういえばカノンちゃんってなんのバイトしてるの?」

「アパレル関係の仕事だよ。服好きだからさっ」

「えぇそうなんだ!どこどこ?行ってみたい!」

「んとね、在庫管理…?っていうのかな、完全裏方の仕事なんだよね、だからほとんどお店に行くことないの」

「そんなアルバイトあるんだ⁉でもカノンちゃん毎日びっくりするくらいお洒落だから言われて納得だねっ」

「んぇ…?あ、ありがとう、」

 自分の服を褒められたことが恥ずかしかったのか、はにかんでお礼を言う彼女に周りにいた人間誰もがボソッと「可愛い…」と呟いていた。俺が今日から行くことになったバイト先もアパレル会社っていうことで、俺は勝手に藍染さんに親近感を覚えていた。

「あ、ダイ。今日俺駅前の百貨店行くんだけど一緒に行かねぇ?」

「今日か…残念ながらバイトなんだよな。」

「あれ、やめたんじゃなかったのかよ?」

「新しいところ。その百貨店俺も行きたいからまた今度誘ってよ」

 高校卒業する少し前から始めた飲食店のバイト。半年ほどしか働いていなかったからか、新しいバイトが楽しみなのだからか、未練なくあっさりやめてきてしまった。早く今日の授業が終わらないかとソワソワしている。

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