第10話声が

十二月三十一日になると何故か律子の声が俺は聞きたくなった。でも、スマホを手に取っても電話をかけられなかった。自室でテレビを見ていると有紗が部屋に入って来た。「初詣行くの?」と有紗は聞いて来た。「行かないよ。」と俺は答えた。「じゃあさ、友達の妹があんたと初詣に行きたいって言ってるんだけど行かない?」「行かない。」即答した。「高校生になったんだから彼女の一人ぐらいいても損は無いんじゃない?」と有紗は食い下がって来た。「姉ちゃん彼氏いるの?」「まぁね。」とちょっと恥ずかしそうに有紗は答えた。有紗は、弟の俺には分からない魅力があるらしい。「パパとママには内緒ね。」「もうバレてると思うけど。」と俺が言うと少し驚いた顔を有紗はした。「あんたって鈍感そうだけど意外ね。」と笑いながら有紗は言った。しばらく有紗は俺の部屋で一緒にテレビを見て黙って部屋を出て行った。俺はテレビを消してベッドに寝転がった。姉ちゃんに彼氏か、ガリ勉だった有紗はどこにいったのか?変わるもんだな、人って。


昼まで寝ていると腹が減って来た。俺は、自室を出て一階に降りると冷蔵庫からコーラを出して飲んだ。生き返ると俺は思った。即席ラーメンの味噌味を作って俺はリビングのテーブルで一人で食べ始めた。中学生の頃は俺はもっと食べたが高校生になってセーブし始めた。運動をしてないからチャーハンもやめた。でも、コーラはやめられない。俺は、ラーメンを食べ終えると自室に閉じこもった。文庫本を読み始めた。そうしていると未知子が部屋に入って来た。「どうしたの?」と俺は聞いた。「有紗の事なんだけど、有紗変わったと思わない?」と未知子は少し心配そうな顔をして俺に聞いて来た。「確かに、真面目でガリ勉だったよね。」と俺は答えた。「悪い友達と付き合って無いと良いけど。」俺は、悪いどこか彼氏いるよと心の中で言った。


有紗は、夜、リビングで家族と一緒に紅白を見ていた。そうか、分かった。有紗は俺と一緒に初詣に行くと言って彼氏と合流する気だ。夜中から行く気だな。そうすれば親も心配しない。そうはいくかと思っていると檸檬から電話が来た。檸檬に事情を話すと協力してあげようと言って来た。近所の神社で夜に檸檬と待ち合わせする約束をした。有紗は俺に思ってた通り近所の神社に初詣に一緒に行こうと誘って来た。「良いよ。」と渋りながら答えた。有紗は笑顔になった。厚着をして神社に向かった。「綺麗な子がいるね。しかも着物着てるよ。」と有紗は檸檬を見ながら小さな声で言った。「塩見君。」と檸檬は声を俺にかけて来た。「よ!」と待ち合わせ成功。有紗は、びっくりした顔をした。

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