第3話庭
律子は、俺と同じ帰宅部だ。「大きい家に住んでるんだね。」と律子が俺の家を見て言った。「あぁ。」「あのさ、今日さ、映画の話しなかったから。」そう律子は言うとポテを見つめて沈黙。何でポテ見てボーっとしてんだよ?と俺は律子とポテを交互に見ながら思った。テレパシーで話してるのか?「犬、好きなの?」「う〜ん、好きと言うか得意。」意味不明。律子は、庭に入って来てポテの顎を触った。珍しい。ポテが大人しくしてるなんて。「名前は?」「ポテ。」「ふ〜ん、ポテトおじさんのポテか。」と律子は、名前の由来を言い当てた。俺の姉がポテトおじさんというマイナーな絵本に出て来る主人公のポテトおじさんから取ってポテと名付けた。変な名前と俺は思っていた。
「お手。」と律子はしゃがんでポテに言った。ポテは餌をあげる時にしかお手はしない。ポテは、ハァハァしながらお手をした。え?「ふーん。賢くて神経質だね、ポテ。」と律子は言った。「そうなの?」と俺は思わず律子に聞いた。「知らなかったの?塩見君、飼い主でしょう?」知らねーよ、犬の性格なんてと俺は思った。「塩見君ってさ、何で帰宅部なの?」お前もだろ?「あぁ、中学生の時に部活してて燃え尽きた。」と俺は適当に答えた。「暇でしょう?」と律子は立って俺の目を見て聞いてきた。「まぁ。」と答えて俺は図星だからなと思った。「部活作らない?」「は?」「映画研究会。」俺に取って映画は見ないと胸が潰れそうになるくらいに退屈になる。趣味を越えて生活の一部になっている。しかし、それを部活動にするのは抵抗があるし考えた事も無い。
律子は、返事は?という感じで俺を見て待っている。「良いんじゃない。暇だしね。」「分かった。でさ、昨日の映画だけどさ。」と律子は映画研究会なるものを忘れたように映画の話しを続けた。いつ帰るんだよ?と俺は寒くなって庭で思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます