体育
今は体育の授業。
体力テストだ。
二人一組ペアを組んでやるのだが、結希はどうせペアをもうすでに組んでいるのだろうから小春と組むことにした。
「小春、組もうぜー。」
「あ、いいよ。」
俺は小春と組むことができた。
俺は結希の方に視線を回すと、一人でポツンと突っ立ていた。
周りの男子は様子を見るだけで、誰も近づかない。
みんな怖くて、話しかけられないのだ。
クソ、前世のトラウマが蘇る…!
前世の俺はほとんど一人で残ったから…
結希は結局女友達と組むことにした。
とりあえず今日はシャトルランからだ。
俺は結希の隣にいた。
結希と走るのか…
先生がスピーカーをオンにして、説明の声が耳に流れてくる。
そして、「ド」の音が聞こえた。
最初はゆっくりでも間に合うのでみんなジョギング程度のスピード走る。
そして、ちょっとずつ早くなり、横から聞こえてくる足音が大きくなった。
俺の記録は200回。
まあまあだな。
と、言えるとかっこいいのだが…
ちなみに結希は150回。
女子では一番回数が多かった。
運動もそこそこできると言っていたがここまでとは。
でも、スラム街で育った俺には敵わないな。
最近、勉強漬けで運動能力が落ちてないか心配だったが、大丈夫で良かった。
「200回なんてすごいね。中学に何か部活やってたの?」
結果を見た小春は驚いて俺に聞いてきた。
「帰宅部だったけど…」
本当は中学なんて行ってない。
この学校に受かったのも、試験で高成績を収めたからだ。
「帰宅部でこの運動能力…もしかして、生まれつきとか?」
「いや…後天的に身に着けたものだね。」
「えー!?じゃあどこで身に着けたの?」
言うか言わないか。
まあ、言ったところで小春に心配をかけるだけだ。
言う必要はない。
「あんまり言いたくないかな。」
「分かった。」
小春は深堀しすぎない、優しい人だな。
俺が嫌と言えばそこで切り上げる。
でも、そんなに優しいと利用されるぞ。
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