初めて明かされる主人公の名前
しばらくの間沈黙が続いた。
しばらくしたあと、日比野先輩が口を開いた。
「イケメンで可愛い後輩の願いなら無償で聞いてあげたいけどねー。でもこれは話がちょっと大きすぎるかな。」
そんな答えは求めてない!
俺の焦りをよそに先輩は続ける。
「バレたら即退学だからね。でも、いいよ。」
やった!
思わず笑みを浮かべる。
それを見た先輩はいたずらっぽい笑顔を見せて口を開いた。
「笑った顔も可愛いね。やっぱりイケメンは見ていて飽きないね。」
彼女はポケットからスマホを取り出し、Li〇eのQRコードを見せてきた。
「今すぐ写真送るよ。だから交換しよ?」
そういえば結希以外と連絡先を交換していないな。
俺はQRコードを読み取った。
そこには、『HIBINO』という名前に、ある画像がついていた。
それは彼女のプロフィール写真。
…可愛い…
犬だった。
「ありがとうございます。では、また今度。」
おれは日比野先輩に会釈をしたあと、教室に向かって歩いていった。
その途中、教室まであと5分のところ。
小春に会った。
「お、小春か。また図書室か?」
「うん。はるかは?」
「その名前はやめてくれ。紫陽花って書いてはるかっていうのは珍しいし女っぽいから嫌なんだ。」
そういえば最近は全く名前で呼ばれていないな。
ちょくちょく呼ばれることはあるが…
「いいじゃん。花が由来だなんて。素敵な親だね。」
素敵な親。
俺は、我が子を売るような人間を素敵な親とは呼ばないがな。
「そんなことはない…」
「…ごめんね。」
小春は頭がいい。
俺の反応から、家庭環境が複雑であると、予想したのだろう。
「辛かったら相談してね。」
彼女は優しい笑顔をしながら俺の頭を撫でた。
小柄で可愛らしい女の子に、大人のようなことを言われて、俺は思わずドキッとしてしまった。
「ありがとう…」
俺は小春と本の話をしながら教室に戻った。
終始、小春は楽しそうだった。
彼女は今まで友達がいなかったと言っていたので、よかった。
教室に入ると、結希が居た。
なんか怒っているように見える
妬いてるのか。
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