手段は選ばない

 俺は今日も結希と一緒に登校する。

「今日も結希は可愛いな。」

「え!?」

 結希は顔を真っ赤にして俯いた。

 可愛いじゃないか。

 俺は真っ赤になった結希と校舎に歩いて行った。

 ちなみに昨日、放課後に結希から教えてもらったのだが、男は西園寺龍地というらしい。

 俺の予想通り龍地は貴族だった。

 態度は荒く、自分がキングだと思い込んでる勘違いヤロ―だが、スクールカーストはトップだ。

 金の力で、絶対的な偽物の信頼を得ている。

 みんな口には出さないが、心の中で龍地のことを嫌っている。

 アイツは金がなくなった瞬間みんなに裏切られる。

 後はアイツの犯罪の証拠を見つけてアイツの口座の中をスッカラカンにしてやる。

 俺はとりあえず龍地を一日中付け回した。

 アイツの周りには基本金目当ての女子が群がっていて、媚びを売っている男子が数人。

 アイツは金の力で過半数の人間を自分の支配下に置いて、少数派の人はそれに従うしかなくなっているのか。

 なら、こちらに寝返らせるか。

 まあ、俺はイケメンだし、もうすでに5人くらいから告白されてるし。

 でもあんな人数の女子を堕とすのは難しい。

 となると、学校で人気者になる必要がある。

 そうすれば一部の女子をこちら側に引き込むことができるだろう。

 次の中間テスト…

 テストがどのくらい難しいのか。

 去年にどんな問題が出たのか分かればいい。

 俺はイケメン好きで知られる先輩を探し始めた。

 ……あ、見つけた。

「すみません。」

 俺はイケメン好きの日比野先輩に話しかけた。

「はい、なんでしょう…って一年のイケメン君じゃん。」

 彼女は俺のことを知っているようだ。

「あの、ここではなく、二人きりになれる場所に行きませんか?」

「うーん、まあ、いいけど。年上が好みなの?」

「あはは…」

 突然爆弾を落としてきた日比野先輩。

 俺は適当に笑って流した。

 俺は日比野先輩と交渉するために誰もいない場所で話すことにする。

 移動中、日比野先輩は一回も俺に話しかけてこなかった。

 ずっと不気味な沈黙が続いた。


 目的地に着くと俺はさっそく日比野先輩に提案をする。

「金とイケメン友達の連絡先あげるんで、去年の期末テストの問題くれますか?」

 俺の提案を聞いた彼女は一気に真剣な顔をする。

 それは、しっかりした先輩の顔だった。

 さて、彼女が提案に応じてくれるかな。

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