神様は活舌が悪いらしい

 そういえば結希の検索履歴にあった漫画、結衣のお気に入りだったな。

 彼女が死ぬ前に俺におすすめしてきたやつだ。

 前世の自宅に16巻まで揃えてある。

 結希といるとことあるごとに結衣のことを色々思い出す。

 まあ、ゆっくり探すか。

 そこで俺はもう一つ重大なことを思い出した。

 俺の夢に現れた男だ。

 顔だけがなぜか覚えられないが、それはどうでもいい。

 アイツの正体が気になる。

 神ともいえる存在なのか。

 いや、神ならあんなアホっぽい話し方しないか。

 それに神様ならこんな失礼なことを考えている俺の脳内に直接話しかけてきたり、天罰とかできるだろうしな。

「アー、アー。」

 俺の頭の中に変な声が響いてきた。

 まさか、ほんとに話しかけてきたのか?

「き▢はすご▢▢礼な▢と▢え▢えていたね。▢▢くら▢せる▢!」

 滑舌悪ぅー。

 脳内に直接話しかけるときに滑舌とか関係あるのか?

「だ▢ら!▢▢▢▢▢▢」

 もう喋んな!

「い▢、回線が悪▢の!」

 脳内に直接話しかけるやつに回線とかも関係あるの?

 こいつと話すのめんどくさすぎる

 めっちゃ疲れる。

 もういいから話しかけるのやめて。

「▢▢▢▢▢▢….」

 最後のはマジで聞き取れなかった。

 その後、男から話しかけられることはなかった。

 掃除をし、庭の手入れをして、その他雑用をした後、結希の家庭教師をする。

 最近はずっとこの調子だ。

 結衣の手がかりも掴めない。

 チェスでお互いのキングだけが残っただけのような気分だ。

 俺は最近、結衣の家の周りを周ったせいで不審者と思われ、警察に注意を受けた。

 だから俺は最近この屋敷から出ていない。

 どうしよう...

 俺はじっと考えていたが、結希に話しかけられて俺の考えは強制的に遮断された。

「なんでしょう?」

「あ、ここの問題がよくわからなくて...」

「えーと、『五人の子供が公園で遊んでいました。最初にx人の子供が来ました。次にy人の大人が来ました。さて、B店で売っているチョコは何円でしょう......』って無理じゃねーかっ!」

「うわっ!」

 おれが急に大きい声を出したせいで結希が驚いてしまった。

「あ、すみません問題が意味不明すぎて...」

「ですよね?」

「はい。その問題は無視しましょう。」

「分かりました!」

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