好きな子が転生したらしいので、探しに行きます

大好きな人が転生した

　俺はあとちょっとでバイト先に着くところで、スーツを着ている男に話しかけられた。「今、何かお仕事されていますか？」

　その男は、黒いスーツに白いシャツ、そして光沢のあるネクタイを締めていて、まるでビジネスマンそのものだった。

　彼の髪は整えられ、顔には自信に満ちた笑みが浮かんでいる。

　周囲の喧騒とは対照的に、彼の存在はまるで別世界から来たかのように感じられた。

「え、あ、いや、一応バイトだけやってます。」俺は少し戸惑いながら答えた。

　彼の目は真剣で、まるで俺の返事を待っているかのようだった。

「でしたら、うちで働いてくれますか？」彼の言葉は、まるで突然の雷のように響いた。

　俺は思わず間抜けな声を出してしまった。

「え!?」

　彼は微笑みを崩さず、さらに続けた。「実は、私の雇い主である貴族のお嬢様が、イケメンのメイドを探しているのです。あなたのルックスを見て、ぜひお願いしたいと思いました。」

　俺はその言葉に驚き、思わず目を丸くした。イケメンのメイド？そんな仕事があるのか？

　しかも、貴族のお嬢様のために？

　想像もつかない展開に、頭が混乱していく。

「時給は5000円ですが、もちろん、ちゃんと仕事をしていただければ、ボーナスもありま...」

「やります！」

　俺は即答した。心の中で、こんなチャンスを逃すわけにはいかないと思ったからだ。

　その後、彼は俺を近くの喫茶店に連れて行き、詳細を説明してくれた。

　店内は落ち着いた雰囲気で、香ばしいコーヒーの香りが漂い、心地よいジャズが流れていた。

　俺はその空間に少し緊張しながらも、心が躍るのを感じていた。

「これが一通りの仕事です。あとは見学してから寝て、明日から業務に入ります。」

　彼はそう言って、俺に仕事の内容を説明し始めた。

　俺はその言葉を聞きながら、心の中で新しい生活への期待が膨らんでいくのを感じた。

　ー寝る前、ベッドにてー

　俺は掃除、お嬢様の身の回りの世話、庭の手入れ。

　俺はすぐに覚えることができたので明日から仕事だ。

　ちなみにお嬢様の名前は結希というらしい。

　その名前を聞いて、俺は結衣を連想してしまったがすぐに考えるのをやめた。

　俺がお嬢様のメイドとしてふさわしいかどうかは関係ない。

　とにかく安定した生活を手に入れる必要がある。

　俺はとりあえずすべてのバイトをやめた。

　そしてゆっくりと眠りについた。

　目が覚めたら白い霧に包まれた不思議な空間に、俺はいた。

「ここはどこだ!?」

　俺はつい声に出してしまった。

「ここがどこか知りたい?まあ一言で表すなら天国だね。まあ、ちょっと違うけど。」

　目の前に男が現れた。

　少し筋肉質な体をしていて、顔を覚えることができない

　見た瞬間にその記憶を飛ばされているようだ。

「かなり急だけど結衣は生きているよ。転生して彼女の魂は今、別の器にある。」

「かなり急だけど結衣は生きているよ。転生して彼女の魂は今、別の器にある。」

　目の前の男は突然訳の分からないことを言い始めた。

「何を言ってるんですか?結衣のことまで知っているようですし。」

　それを聞いた男は笑顔を見せ、口を開いた。

「まあ気になるよね。でもそれについては話すことができない。」

　なんだよこいつ...

「とにかく、結衣の事について聞かせてもらおうか!」

「なんでそんなに口調が荒いのー?」

　ムカつくやつだ。

　信用ができない。

「じゃあ最後に一つだけ情報をあげるね。彼女は日本の貴族に転生しているよ。」

「え!?」

　その言葉を最後に俺の意識が途絶えた。

　ー翌日の早朝ー

「おはようございます。結希様。」

「おはようございます、今日からよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いいたします。」

　俺は挨拶をした。

　彼女はかなりの美人で、勉強もスポーツもできるらしい。

　生まれたときから金、才能、ルックス。

　全部持っている。

　毎日必死にバイトをして生活費を稼いでいる俺とは真逆の人生を送ってきたのだろう。

　いじめられたことがないというくらいに人望も厚い。

「あなたが新人のメイドね。」

「はい。」

「何か特技や好きなことはあるの?」

「特にありませんが頭の良さではそこそこ自信があります。」

「なるほど!かなり意外ですね!」

　あいつは言った。

　結衣は日本の貴族に転生したと。

　あいつにもう一度会いたい。

　これが恋なのかどうかは分からないがとにかく会えば分かることだ。

　この結希というやつを使って他の貴族に接触できるかもしれない。

　俺は結衣を探し出すことにした。