俺は転生した
目が覚めた。
ずっと暗闇にいたから気がするが思い出せない。
悪夢かなんかを見ていたのだろうか。
俺はとりあえず毎朝来る結衣からのメッセージを確認するためにスマホを探そうと.....
そうだ、結衣にはもう会えないんだった。
2006年10月21日、俺は死んだ。
そして今、新しい人として、人生をやり直している。
生まれ変わり、今で言う転生というやつだ。
昨日で俺は結衣と同じ年齢になった。
死んだあと、目が覚めたら知らない人に抱っこされてた。
とりあえず声を出そうとしたが、赤ん坊のような声しか出なくて、焦ったのを覚えている。
その後だんだん冷静になってきた辺りから記憶があまりない。
まあ、幼少期のことだし覚えているわけないか。
その後3歳の時に親に売られた。
その時母親には「これからあなたはお仕事に行くのー。仕事っていうのはね、大人にならないとできないのだけれど、あなたは特別なの。行ってらっしゃい。」と言われた。
母親の隣にはガラの悪い男が数人いた。
その時に母親も札束が入った封筒をニヤニヤしながら握っていた。
その時に俺は確信した。
俺は捨てられたのだと。
そこで反抗しても男達に敵うわけがない。
俺は頭の悪いふりをして、その男たちについていった。
行った先は古びた工場だった。
そこではひたすら単純作業をやらされた。
ある日、監視役の人が用事でどこかに行った。
俺は夜にこっそりと抜け出して、そのまま逃げ切った。
金は男達からパクったものだ。
その後はしばらく貧乏な生活を送ったが、スラム街の不良に面倒を見てもらえた。
俺は前世、成績はそこそこよかったので、不良達とうまく過ごすことができた。
そのままバイトができる年齢になって、今はボロアパートに住んでいる。
毎日色んなバイトを掛け持ちして、必死に電気代、水道代、家賃、食費。
必死に働いて金を集める。
小学校すら行ったことのない俺が普通の会社で採用されるとは思えない。
お先真っ暗だ。
死んでもまた転生するのかな...
でもそんなことを確かめる度胸は俺にない。
そして今からバイトに向かうところだ。
一応新しい俺は前世と違う体をしていて、こっちはかなりイケメンだ。
まあちょっとボロい服を着ているせいで逆ナンされまくる...というわけではないが。
俺はあとちょっとでバイト先に着くところでスーツを着ている男に話しかけられた。
「今、何かお仕事されていますか?」
「あ、いや、一応バイトだけやってます。」
「でしたら、うちで働いてくれますか?」
「え!?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
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