好きな子が転生したらしいので、探しに行きます

猫の耳毛

前編 大好きな人を探し出せ

死んじゃった...

「お兄ちゃん!おはよう!元気?」

 眠気Maxで登校中の俺に話しかけたのは七瀬結衣。

 中学一年生。

 身長は150ちょっと。

 体重は...コンプレックスみたいで、聞いていない。

 だが一応体は華奢だ。

 兄妹というわけでもないが、小さいときによく遊んであげたから、お兄ちゃんと呼ばれるようになった。

 この子は相当顔が整っていて、運動も勉強もかなりできるため、言うまでも無く、モテモテだ。

 毎日5人くらいの男子に告白されている。

 最近は告白されなくなった。

 なぜなら学校中の男子はもう彼女に告白して砕け散ったからだ。

 こんなにもモテモテなのにこの子はずっと俺にかまってくる。

 そして今日も言ってくるのだろう。

「お兄ちゃん、好き、結婚して?」

 ほら。

「毎朝それを言うのはやめろ。確かにお前は、顔がかなりいい。でもな、俺は高校三年生なんだよ?そんな俺が、お前と付き合ったらどうなるか想像しろ。友達にロリコンとか、ロリコンとか、ロリコンって言われるの!社会的に死ぬの!分かった?」

「はぁーい...でも顔がいいってほめてくれてありがとう。」

 残念そうにするな。

 さすがにロリコンというあだ名は嫌だ。

 もう随分長く仲良くしているから、この子を異性として見れない。

「なんでちょっと助けたくらいで惚れちゃうんだよ。チョロすぎだろ。」

「えー、だってあの時のお兄ちゃんチョーかっこよかった。」

 あまり思い出したくないが、5年くらい前に結衣は年上の奴らにいじめられていた。

 その時にそいつらに喧嘩を吹っ掛けて逆にボコボコにされた事があった。

「ボコボコにされてる俺のどこがかっこよかったんだよ。思い出したくねえよ。」

 その言葉を聞いた結衣はニコッと笑って口を開いた

「かっこよかたよ?私のために身を挺して守ってくれて。」

「そうかよ。」

 やはり相手が誰であろうと、褒められるのは照れる。

 いつもと同じ分かれ道で俺と結衣は別れた。

 だが次の日、この会話はしなかった。

 というよりできなかった。

 いつもの通学路には人が一人もいない。

 鳥と風の音しか聞こえてこない。

 それは警察がその道を立ち入り禁止にしたからだ。

 死人が出たらしい。

 誰が死んだか気になる?

 俺と結衣だよ。


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